各論① 発展について

どうも、蟻です。

本当は日曜あたりにポストしようと思ったんですが、風邪をひいてぶっ倒れてしまい、パートナーの栗はテストに追われてしまっていたので遅れての投稿になります><

 

今週(先週)は、「発展」に関するモーションに集中し、プレパ練習+理論の勉強をしていました。以下では、私見で、

①「発展」モーションって何?

②「発展」で使える理論

について、軽く書いていきたいと思います!

 

①「発展」モーションって何?(以下、栗がまとめてくれました)

THW make developmental aid contingent upon XX (democracy, environmental regulation...)
THBT developing nations should make English the single official language)
THBT developed countries shouldn’t accept XX from developinging (doctors, skilled workers...)
THBT ing should XX (not host international sporting events, ban members of political dynasties from running in elections, impose heavy tariff on art prodects from developed)
THBT ing should nationalise XX (essential services, natural resources, food supply)
THBT economic development organizations (IMF, WB) should not make their aid conditional on trade liberalization
などですね。

 

②「発展」で使える理論

それぞれのディベートで、議論したらよさそうなことは若干変わってくると思いますが、大まかに通底することとして

☆あるべき「発展」とは何か?

☆どうしたらその「発展」にたどり着けるのか?

☆それに対して誰が誰に対してどういう責任を負うのか?(特に先進国・国際機関→発展途上国へ)

ということなどが問われている気がします。(先週の練習があまり効率化できていないかったので、モーションの体系化ができていません。もしどなたか発展型モーションのクッキーカッター・ヴァリュー対立・トレードオフとか体系化している方がいれば、コメントに書いてください…参考にさせていただきます。)

そこで、この3つの問いに関して、どういう立場が取れるかについて、ちょっと書いていきたいと思います。それにあたって参照するのが「発展理論」(Development Theories)です。

 

☆あるべき「発展」とは何か?

そもそも、「発展」って何?

この問い、考え始めると意外とむずかしいです。最初、私は「発展」と言うと、漫画ナルトのこの葉隠れの村が一話の昭和っぽい商店街一軒家の街から710話(かな)の電力化された高層ビル立ち並ぶメトロポリスに変わりましたとさ、というイメージがあります。西洋的・近代的・資本主義的な生活事実が根付いた環境ですね(忍者はいるけどあれは西洋です)。

でも、果たして、我々が例えば現代日本で築いた大量消費社会は私たちの先祖の江戸時代の社会より「発展」した、と本当に言えるのでしょうか?あるいは、私たちの社会が、例えば伝統的な文化を維持している北センチネル島の民族より「発展している」、だから、暗に示唆していることとして、優れていると言えるのでしょうか?

「発展」をどう考えるかについては、色々な人がいろいろなことを言ってきました。ディベートでは、その概要と変遷を一応把握することは大事なんじゃないかなと思います。(☆どうしたらその「発展」にたどり着けるのか?は、求めている発展の種類によります)

発展の理論について、少し時代をたどってみていきたいと思います(ウィキペディアのDevelopment theoriesというページ、それに関連したページ、また以下のサイトなどを参照しています。

https://www.britannica.com/topic/development-theory#ref307656

www.sagepub.com/sites/default/files/upm-binaries/18296_5070_Sumner_Ch01.pdf

http://www.owen.org/wp-content/uploads/Development-and-Complexity-Slides.pdf

 

1.近代化理論(Modernization Theory)

端的に:西洋的な発展にみんないつかたどり着く!それが最高!みんなで目指そう!

主な論者:Rostow

時代:1950年代、60年代(第三世界を共産化させたくない!という問題意識)

批判:みんな同じ風に発展するわけじゃなくない?

備考:

①現在でも、「発展」にある程度このイメージはある。

②経済発展を重視したとき、Rostow はBalanced Development(すべての産業が並んで成長するんだよねーと)、HirschmanはUnbalanced Development (特定産業を優先的に伸ばしていく)を主張。後者が効果的であるとされている。

 

2.世界システム論・従属理論(Dependency Theory, World Systems Theory)

端的に:途上国が発展しない理由は、先進国を中心とし、途上国を周辺とする世界システムの中で、途上国が付加価値の低い製品作らされて高い製品買わされているからである。(これを敷衍すると、発展するにはこの従属の連鎖を断ち切るべき、とする人もいる)

主な論者:Wallerstein (世界システム論)

時代:1970年代ごろから、1.じゃ発展しなくない?という問題意識の下で

批判:世界マーケットの一部になることで発展している国がたくさんある中で正しくないのではないか(例:インド、韓国)

 

3.ネオリベラリズム(ちょっと異質な理論)

端的に:発展するためにワシントンコンセンサス導入しろ!自由かを

ワシントンコンセンサス

1. Fiscal policy discipline (avoid large fiscal deficits to GDP ratio)
2. Redirection of public spending: subsidies→broad-based provision of key pro-growth, pro-poor investment;
3. Tax reform, broadening the tax base and adopting moderate marginal tax rates;
4. Interest rates that are market determined and positive (but moderate) in real terms;
5. Competitive exchange rates;
6. Trade liberalization (low tarriffs)
7. Liberalization of inward foreign direct investment;
8. Privatization of state enterprises;
9. Deregulation
10. Legal security for property rights.
主な論者:(Friedman) IMF, WB

批判:この国々にこれ無理じゃない?→失敗

備考:これへのもう一つの批判として、こんな画一的な政策要請していいのか?というものがあった。次につながる。

 

4.批判理論(Critical theory)

端的に:本当に発展ってそんな単純なことなの?いろんな発展がいろんな人にあってしかるべきではないか?なんでみんなアメリカにならないといけないの?そもそも発展って何?

主な論者:Sen, Nussbaumなど。いろいろ

批判:じゃあどうすればいいの?があまりはっきりしないこともある

重要:以上の1.から3.は、Modernization Theoryをなんとなく背後にしたEconomic Development重視の理論だが、批判理論により、 Sustainable Development, Gender focused Development, Human developmentなどいろいろな新しい視点が出てきた。

特に、Capability approach が今の発展では重要とされている。人間はFunctioning (What we are capable, want to be capable, or should be capable to be and/or do)ができるようなCapabilityを与えられる存在であるべきである、ということを基本的な趣旨としている。どういうcapabilityが重要にされているかの例として、Nussbaumの10のcapabilityがある(Life, Bodily Health, Bodily Integrity, Senses, Imagination, and Thought, Emotions,  Practical Reason, Affiliation, Other Species, Play, Control over one's Political & Material Environment)。これは、SDGの背景にある考え方になっている。

 

☆それに対して誰が誰に対してどういう責任を負うのか?(特に先進国・国際機関→発展途上国へ)

責任の議論は、発展途上国から搾取してきたから先進国は何々あげるべきだ~というとても大雑把な議論もできますが、たいていのディベートでは、まああるかもしれないけどだからなんでこういう形態で発展させるの?という話になってしまう気がします(環境と発展とかいう話が出てくるとまた少し変わってきますが)。なので、私はだれが何を必要としていて、それを誰が提供できて、あるいは先進国が何々を提供したら、こういうメカニズムでこういう発展ができるんだよ、という説明をしたいと思いますし、そういうのを聞くのが好きです。

なので、ここでは発展ディベートに出てくるアクターの話をします!Waltzの理論でいえば、↑でシステムの話がある程度出てきたので、Man と Stateの話ですね。

1.国

発展途上国:いろいろあります!!!!どの発展途上国の話をしているのか、常に意識しましょう。

大きさを基準とした区分として、

Least Developed Countries : 最貧国、後発開発途上国、第四世界。47か国。定義上、Poverty, Human Resource Weakness, Economic Vulnerabilityがある。例:アフガニスタンシエラレオネはじめサハラ以南アフリカ諸国の多く、ミャンマーなど

Frontier Markets: 27か国くらい。最貧国よりは発展しているが、Emergingとするには小さい。例:ベトナムケニアスロベニア、アルゼンチン、バングラデシュなど

Emerging Markets:発展した市場の特徴も持っているが、完全には発展していない国

例:チリ、ペルー、ハンガリー

Newly Industrialized Economies: 発展しきってはいないが、マクロ経済的にほかの発展国を追い抜いた国。

一覧:ブラジル、インド、中国、南アフリカ、メキシコ、マレーシア、タイ、トルコ、インドネシア、フィリピン)

・先進国。これはもう少しわかりやすいですね。ただ、重要な議論としてPutnam の2レベルゲーム(国内政治も考えようね!!)的な話を忘れないと分析が広がる気がします。

 

2.機関

・国際機関:発展で重要なのは、IMF, 世銀、国連(後日栗の記事が挙がります)

NGO:国際NGO、国内NGOなど、多岐にわたります。例えばバングラデシュに確か6000個くらいあります。

・国内機関:地方自治団体、国内企業、ロビイング団体などなど

 

3.人(特に援助対象としての)

例えばの軸:

・子供と大人

・エリートと民衆(特に政治家、産業家がこういう国でどういう立場をとるのか)

貧困層と富裕層

・男と女、性的マイノリティ

・低賃金労働者とskilled labor

・主要民族と少数民族、主要な人種と少数の人種

 

具体的に描くと、どういう人がどういう発展を求めていて、何かを導入するときにどう動くのかが見えやすくなるかな、と思います!

 

長くなりました(今度からもうちょっと使いやすくまとめます)が、もし使える分析があれば幸いです!思ったこと+こういう理論とかもあるよーなどあればコメントいただけると助かります!

ではまた~

 

世界大会に向けて

こんにちは!

ブログにお越しいただきありがとうございます。

蟻(ディベート歴3年ちょい)です。

 

これから、私はチームメイトの栗(ディベート歴2年ちょい)と、半年をかけて大学対抗英語パーラメンタリ―ディベートの世界大会(Worlds University Debating Championship; 通称ワールズ)出場に向けて練習をしていきます。

 

こちらのブログでは、世界大会に向けた練習の様子、日ごろ考えていることなどをつづらせていただきます。

将来WUDCに出る人を含め、広く日本語が主言語でも英語ディベートをやっている人に参考になれば幸いです。

 

はじめるにあたって、英語パーラメンタリ―ディベート活動とWUDCの紹介をさせていただければと思います。

 

1.What is English Parliamentary Debating?

英語パーラメンタリ―ディベートは、議会での討論を模した競技です。

色々な形式がありますが、私たちが出る大会はBP形式(British Parliamentary Style)ちう、イギリスの議会の方式に依るものです。

BP形式では、試合開始の15分前に、肯定側に立つか否定側に立つかが指定され、議題を提示されます。

パートナー一人と協力しつつ、自分たちのスピーチを準備します。

スピーチは一人7分間ずつで、1分経過した時点から6分経過するまでの間は、反対側のチームからPoint of Informationという質問をすることができます(しゃべっている人は必ずしも質問を受け付けなくても大丈夫です)。

また、この形式の特徴的なこととして、それぞれ肯定側、否定側に2チームずついます。

そうなんです。4チーム対抗で、1位(3点)→2位(2点)→3位(1点)→4位(0点)という感じで、点数がついていきます。

そのため、戦略としては、「とりあえずびりは絶対とらない!!」というのがとても大事なんですね。

 

2. What is WUDC?

WUDCはBP形式パーラメンタリーディベートの世界大会です。毎年、世界各国から200チーム以上が参加し、9試合の予選の合計点数が高いチームが予選を突破、トーナメント形式の本戦に出場できます。

昨年度の優勝チームはハーバード大学、というように、欧米の名門校が本戦を独占する傾向が例年続いています。

私たちは、今年開かれるCape Town, South AfricaのWUDC 2019に出場する予定です。

日本人が「メイン」という英語を母語として話す人のカテゴリーに進出したことがない中、色々と不安はありますが、パートナーやほかの大学の出場者などと力を合わせ、結果を出せるように頑張ります!!

 

半年間、どうぞよろしくお願いします!!